厳罰化によって引き起こされた「殺人事件」

genbatsu
Yan!Yam!で以前にも取り上げた飲酒運転を始めとした、厳罰化に対する問題ですが、2016年3月23日遂に最悪の結果を生み出してしまいました。

23日、東京・世田谷区でパトカーに追跡されていた乗用車が暴走して6人が死傷した事故で、逮捕された20歳の男が酒を飲んだうえ赤信号を無視して交差点に進入したことが分かり、警視庁は容疑を危険運転致死傷などに切り替え、検察庁に送りました。
この事故は、23日午前2時前、東京・世田谷区の国道でパトカーに追跡されていた乗用車が100キロほどの速度で暴走してタクシーなど車3台に次々に衝突したもので、49歳のタクシー運転手が死亡、5人が重軽傷を負いました。
警視庁は、乗用車を運転していた川崎市の緒環健蔵容疑者(20)を、あて逃げの疑いで逮捕しました。
その後の調べで、緒環容疑者が事故の直前、近くの飲食店で酒を飲んでいたうえ、赤信号を無視して交差点に進入していたことが分かったということです。警視庁は、こうした危険な運転が事故につながったとして、容疑を危険運転致死傷や酒気帯び運転などに切り替え、24日、東京地方検察庁に送りました。
警視庁によりますと、調べに対し緒環容疑者は「酒を飲んでいたので捕まったらまずいと思い、速度を上げて逃げた」などと供述しているということです。
警視庁は防犯カメラの映像を解析し、事故の状況や原因を調べています。

引用元: NHK NEWSWEB
結論から言えば、厳罰化は必ずしも悲しみを最小化するための最善の策ではないということです。
当然、事故を引き起こした緒環健蔵容疑者を擁護できる点は見当たりませんが、仮に2002年以前のように飲酒運転の罰金5万円以下だったら、会社で注意を受ける程度の社会的制裁だったら、緒環健蔵容疑者は時速100kmも出して逃走したでしょうか?タクシー運転手の村松豪さんが亡くなることはあったでしょうか?
刑法上、始めた犯罪行為を自らの意思でやめようとした場合、減刑となります。これは犯人に対し、減刑の余地を残しておくことで最悪の事態を回避し、被害者を守る効果があります。今回の場合、警察に追いかけられた時点で素直に停車すれば殺人を犯すことはありませんでした。厳罰はこの後戻りの余地が全く無く、犯人をとことんまで追い詰め、0か100の精神状態にしてしまうのです。
一方でこの事件の翌日、警察庁は高速道路の最高速度を120kmに引き上げる方針を発表しました。これは社会的に求められている緩和なのでしょうか。
現実としては80km制限でも120km出して走行する車はたくさん存在します。警視庁の見解としては「その隔たりを解消する」とのことですが、最高速度を120kmに引き上げれば160kmで走行するドライバーが増えるのは明白です。ルールを守る多くのドライバーの思いとしては、最高速度を120kmに上げることは恐ろしいことと感じているでしょう。
そして現状、速度超過で運転しているドライバーのそのほとんどを警察は検挙できていません。この最高速度120kmへの引き上げはその怠慢を包み隠そうとしているのではと勘ぐってしまうほどです。
一方で厳罰化、一方で制限速度緩和。このバランスは正しいのでしょうか。疑問ばかりが残るニュースです。
(記事:Yan!Yam!)

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